搭乗者傷害保険と人身傷害保険の違い

1. 搭乗者傷害保険とは
2. 人身傷害保険とは
3. 搭乗者傷害保険と人身傷害保険の比較


1.搭乗者傷害保険とは

 搭乗者傷害保険とは、契約の自動車に搭乗中の人が自動車事故で死傷(死亡・後遺障害・傷害)した時、治療費や収入にかかわらず契約時に定めた金額が支払われる保険のことをいいます。

 「搭乗者」とは、運転中の車に乗っている全ての人、すなわち運転者と同乗者の両方を含みます(ただし正しい位置に搭乗している人に限定。トラックの荷台などに乗っている人は対象外)。

 「契約時に定めた金額」は、死亡・後遺障害・傷害の状態に応じて、支払額が細かく規定されており、死亡時には原則全額支払われ、傷害(けが)の時には「定額日数払い」か「部位症状別払い」のいずれかの方法で支払われます。ただし、「定額日数」「部位症状別」の両方とも、冒頭で述べたとおり、治療費に関係なく一定額が支払われるものであるため、大怪我を負ったときなど、多額の入院費や治療費がかかったときにはこの保険だけではカバーしきれないことがあります。とは言いつつも、搭乗者傷害保険は、基本的な補償をしてくれる保険ですので、保険加入者の80%以上が付帯しているようです。


2.人身傷害保険とは(人身傷害補償保険/特約)

 人身傷害保険(人身傷害補償保険、人身傷害補償担保特約)とは、契約の自動車や他の自動車に乗車中の自動車事故で本人(被保険者)や同乗者が死亡・後遺障害・傷害を受けた際に補償されます。この保険は、乗車中の事故だけでなく、歩行中の自動車事故の場合でも補償されます。

 人身傷害保険の保険金は、傷害の場合は治療費や休業損害、死亡した場合は「逸失利益(もし生きていたら将来に得ることができたはずの利益)などの実損害額」を、過失割合にかかわらず(本人過失分も含めて支払ってくれる)保険示談交渉の完了を待つことなく、保険金額を限度に支払われます。

 「自分や同乗者が死傷してしまった場合の補償をするための保険」という点では、前出の搭乗者傷害保険と共通していますが、搭乗者傷害よりも スムーズ かつ 十分な保険金 を受け取れるという点が異なります。また、休業損害、精神的障害、慰謝料など保険会社が支払ってくれたり、記名被保険者とその家族は歩行中でも補償してくれたり、自損事故保険(自損事故特約)もカバーされていたり等、大変厚い補償内容となっています。巷で「完全補償型保険」と言われるのもうなずけます。

 ただ、「逸失利益の実損害額」というのは、過去1年間の収入や平均月収をもとに、将来に得られるであろう収入を保険会社側で算出するというものです。このため、仮に1億円の人身傷害保険に加入していても、単純に1億円を払ってくれるという意味ではないので、ご注意ください(損害額の具体的な算定基準は、保険会社ごとに設定されています)。

参考: 死亡した場合の損害額 の算出例(一例)
年齢 扶養家族あり 扶養家族なし
25歳 7,000万円 6,000万円
35歳 8,000万円 7,000万円
45歳 8,000万円 7,000万円
55歳 6,000万円 5,000万円

 仮に人身傷害保険を付ける場合、5,000万円~1億円の保険金額に設定するのが理想的ですが、保険料の節約のため実際には3,000万円程度としている人も多いようです。人身傷害保険を申し込むことにより保険料の上乗せ額がいくらになるのかをチェックして、付帯するかどうかを検討してみましょう。ちなみに、損害保険に関する全国調査2001年11月(社団法人日本損害保険協会)によれば、人身傷害保険の付帯率は34.6%となっています。任意保険をかけている人が約70%ですので、保険加入者の約半数が付帯していることになります。ただし、申込者の等級が低い場合には、この人身傷害保険の保険料はかなり高くなります。


3.搭乗者傷害保険と人身傷害保険の比較

 私の個人的な意見としては、搭乗者傷害保険は「入っておいたほうが良い“基本的な保険”」であるのに対し、人身傷害保険は「入っていれば厚い補償が得られる“完全カバーの保険”」と表現できます。以下に、比較表を掲載しますので、ご参照ください。

搭乗者傷害保険 人身傷害補償保険
被保険者 1.被保険自動車の搭乗者 1.被保険自動車の搭乗者
2.保険証券に記載の被保険者とその家族
補償対象 1.被保険車の運行中の事故 1.被保険車の運行中の事故(自損事故を含む=自損事故保険をカバーした内容)
2.車外での交通事故
保険金
算出方法
1.死亡の場合は、保険金を全額支払い。
2.傷害などの場合は、定額日数払いと部位症状別払いのいずれか。
3.事故の相手から支払われる保険金のほかに、自分の搭乗者保険も請求可能。
1.逸失利益の実損害額を根拠に保険金の上限の範囲内で支払い。
2.治療費の実費、休業損害、慰謝料なども補償。
3.過失割合に関係なく、自分の過失分の治療費も支払われる。
4.こちらの過失がゼロの場合は相手が支払うため、自分の保険は使えない。

まとめ
 搭乗者傷害と人身傷害の両方に入れば、基本的に両方のお金を受け取れるので一番ベストですが、保険料も高くついてしまうので、悩ましいところです。基本的には、人身傷害保険の方が手厚い補償内容となっています。
 ただ、治療中に搭乗者傷害保険の保険金を支払ってくれる保険会社があったり(or なかったり)、逆に人身傷害保険に入っていることによって、本人が一時的に立て替えることなく直接治療費を支払ってくれることもある保険会社もあるなど、支払方法も保険会社によって微妙に異なります。色んなメリットや保険料などを総合的に勘案しつつ、時には各保険会社のフリーダイヤルに問い合わせるなどして、検討してみましょう。