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  対人賠償と対物賠償の金額の決め方  
1. 「対人賠償保険」は無制限にしましょう
2. 「対物賠償保険」は、無制限でなくてOK?
3. 「対歩行者傷害補償特約」って、一体ナニ?


  1.「対人賠償保険」は無制限にしましょう  

 対人賠償保険(対人賠償責任保険)とは、自動車の事故で、第三者(歩行者、相手の車に乗っていた人、同乗者など)を死傷させたことにより法律上の賠償責任を負うこととなった場合に対応する保険をいいます。自賠責保険(強制保険)を超過した額をカバーする保険です。

 以下に、交通事故による主な対人賠償の金額を表示してみました。ご覧のとおり、交通事故で相手を死亡させたり、重度の後遺障害が残ったりすれば、大変な賠償金を請求されます。実際に2億~3億円に達した判例もあります(下表参照)。このため、任意の自動車保険に加入することはもちろんのこと、対人賠償保険の金額を無制限にする必要があります。

 普通の生活をしている人なら、こんな大金を用意できません。家族だけでなく、親類縁者のお金をかき集めても払いきれません。こんなことにならないようにするためには、事故を起こさないように気をつけるのは当然ですが、万一加害者になってしまったときのことを考え、必ず自動車保険に加入することが必要です。そして、保険会社を選び直す際も、対人賠償は「無制限」を選択する必要があるのです。

【 対人事故 】
認定総損害額 状態 裁判所 判決 発生 被害者 同左職業
3億8,281万円 後遺障害 --- H17.5 --- 男 29歳 会社員
3億5,978万円 後遺障害 --- H16.6 --- 男 25歳 大学研究科在籍
3億3,531万円 後遺障害 --- H16.12 --- 男 32歳 銀行員
2億9,736万円 後遺障害 東京地裁 H7.3 S59.7 男 40歳 会社役員
2億6,562万円 後遺障害 大阪地裁 Hl0.11 H4.10 男 19歳 大学浪人
2億6,548万円 後遺障害 東京地裁 Hl0.3 H5.2 男 20歳 大学生
2億5,721万円 後遺 福岡地裁 H11.4 H6.11 男 22歳 自衛官
2億5,050万円 後遺 東京高裁 H8.10 H2.10 男 20歳 専門学校生
2億4,359万円 後遺 大阪地裁 H12.7 H7.11 男 16歳 高校生
2億3,699万円 後遺 大阪地裁 H6.9 Hl.12 男 17歳 電気工
2億3,686万円 後遺 広島地裁 H11.2 H6.6 男 24歳 会社員
2億3,376万円 後遺 広島地裁 H10.1 H2.9 男 18歳 大学生
2億2,418万円 後遺 東京地裁 H7.12 H2.8 男 17歳 高校生
2億2,175万円 後遺 大阪地裁 H8.9 S58.10 女 19歳 店 員

 実際に、ほとんどの保険加入者が対人賠償保険を「無制限」としています。保険に加入する以上、せめてここだけは目一杯 付帯しましょう。


  2.「対物賠償保険」は、無制限でなくてOK?  

 対物賠償保険とは、自動車の事故で他人の財物 (他人の自動車、家屋、ガードレールなど) に損害を与えたことにより法律上の損害賠償責任を負うこととなった場合に対応する保険をいいます。ただし、「他人の物」が対象となるだけで、記名被保険者・運転者・その家族等が所有(使用・管理する)物は保険金支払いの対象となりません。

 対物賠償の判例を見ると、1億円の賠償金額となったのはごくわずかで、大半は1千万円台となっています。保険料を節約したいのであれば、対物賠償はそこそこの金額にしても構わないと思われます(最終的な判断はご自身でお願いします)。ただし、最近は1億円を超える賠償の判例も増えつつあるので、心配な方は対物賠償も「無制限」に設定しておきましょう(注)

(注): 前述のとおり、「大半の賠償金額は1千万円台」とは言っても、ごく一部のケースでは1億円以上の賠償金を請求されることもあります。具体的には、毛皮等 高額な積荷を積んだトラックとの衝突、金額の高い商品が入っている倉庫への衝突、立派な家屋や店舗への衝突(パチンコ店などへの衝突)、電車との接触や衝突、線路の損壊(列車運行が出来ないことによる逸失利益/営業補償の請求)、営業用バスの全損(バス運行が出来ないことによる逸失利益/営業補償の請求)、などが挙げられます。もし心配ならば、対物賠償も「無制限」に設定しておきましょう(「無制限」に変更してもたったの数百円しか保険料が上がらないようであれば、是非「無制限」にしておきましょう)。ジュースとお菓子を少し買うのをガマンする程度で、費用は捻出できますね。

【 対物事故 】
認定総損害額 判決 被害物件
2億6,135万円 H6.7 積荷(呉服・洋服・毛皮)
1億3,580万円 H8.7 店舗(パチンコ店)
1億2,036万円 S55.7 電車・線路・家屋


  3.「対歩行者傷害補償特約」って、一体ナニ?  

 「対歩行者傷害特約」とは、対人事故の被害者が歩行者であるときに、対人賠償保険や自賠責保険などでカバーされない金額を補償するというものです(人身傷害保険に加入している人のみ付保できます。補償金額は、人身傷害の保険金額の範囲内)。

 対人賠償保険は、運転手(加害者)の過失に対しての賠償額を補償してくれる保険であり、基本的に相手(歩行者=被害者)に過失がある場合には、その過失分の金額はカバーしてくれません。 建前から言うのであれば、「自分が悪かったものに対しては支払うけれど、信号無視など相手の過失分に相当する額までは支払う気はありませんよ!」というのは、公平な意見のようにも思えます。しかし、被害者はあくまでも交通弱者である「歩行者」です。そんなにすんなりと相手が納得して折り合いが付くということはありません。その結果、示談交渉が長引き、双方ともに精神的な苦労を抱え続けることとなります。

 そこで登場したのがこの「対歩行者傷害特約」です。この保険は、歩行者の過失分もカバーしてくれます。本来ならモメるはずの示談交渉も「対人賠償保険の保険金」に上乗せして手厚く補償してくれるので、モメる度合いも少なくて済み、早期解決にもつながります。

 なお、この保険は、人身傷害保険に加入している人のみ付けることができます。人身傷害保険は、クルマの搭乗者や保険証券記載の被保険者と家族のみが保険の対象となった手厚い保険であり、事故の相手まではカバーしていません。その意味では、人身傷害保険は「車内の加害者&被害者」向けの手厚い保険、対歩行者傷害特約は「車外(歩行者)」向けの手厚い保険と言うこともできます。なお、対歩行者傷害特約の補償金額は、人身傷害の保険金額が支払いの限度となっています。













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